寄居町立用土小学校いじめ防止基本方針

いじめは、重大な人権侵害であり、決して許される行為ではない。また、いじめを受けた児童の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものである。
 本校では、これまでもいじめは決して許されない行為であるとともに、どの学校でも、どの教室でも、どの子供に起こりうるものであることを十分認識の上、その未然防止と対策にあたってきたところである。
 このたび、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)の施行を受けて、改めて、用土小学校の児童の尊厳を保持するため、学校・家庭・地域・町・その他の関係機関と連携し、いじめ問題の克服に向けて取り組むよう、法第13条の規定に基づき、いじめの防止等(いじめの防止、いじめの早期発見およびいじめへの対処をいう。)のための対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針をまとめ、ここに策定するものである。 
なお、文部科学省が、「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成29年3月)を、埼玉県が、「埼玉県いじめの防止等のための基本的な方針」(平成29年7月)の改定をそれぞれ行った。それに伴い、寄居町においても、「寄居町いじめ防止基本方針」の一部改定を行った。本校でも同様に「埼玉県いじめの防止等のための基本的な方針」、「寄居町いじめ防止基本方針」の改訂に伴い、「寄居町立用土小学校いじめ防止基本方針」の一部改訂を行った。

 第1 「用土小学校いじめ防止基本方針」の策定

○法第13条 学校いじめ防止基本方針
学校は、いじめ防止基本方針又は地方いじめ防止基本方針を参酌し、その学校の実情に応じ、当該学校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針を定めるものとする。

本校は、法の趣旨を踏まえ、国及び埼玉県と寄居町の基本方針を参酌し、本校におけるいじめ防止等のための対策に関する基本的な方針を定める。
「用土小学校いじめ防止基本方針」では、本校におけるいじめの防止等の対策の基本的な方向を示すとともに、いじめの未然防止や早期発見、初期対応、積極的な認知、いじめへの組織的な対応等が、本校において計画的、さらに迅速に行われるよう、講ずるべき対策の内容を具体的に記載する。また、いじめの防止等に係る日常的な取組の検証・見直しを図る仕組みや、本校におけるいじめの防止に資する啓発活動や教育的取組を具体的に定める。
更に、取組の実効性を高めるため、「用土小学校いじめ防止基本方針」が機能しているかを点検し、必要に応じて見直すというPDCAサイクルを盛り込む。

第2 いじめ防止等のための対策の基本理念と本校のいじめ撲滅宣言
 
(1)本校のいじめ防止等の基本理念
いじめ防止等のための対策は、家庭、学校、地域、町、その他の関係機関との連携のもと、次のことを基本として行わなければならない。

 第2 いじめの定義
【法第2条】
児童生徒等に対して、当該児童生徒等が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒等と一定の人的関係にある他の児童生徒等が行う心理的または物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒等が心身の苦痛を感じているものをいう。
個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、法に定められた定義に基づき行うものとする。その際、いじめられた児童の立場に立つことを大前提とし、表面的、形式的に判断するのではなく、いじめには様々な態様があることを踏まえ、児童の言動をきめ細かく観察するものとする。
また、いじめの認知については、次の項目に留意する。

•法に基づき、児童が苦痛に感じ、嫌な思いをしている場合は、法的な「いじめ」の定義に従い、積極的に認知していく。
•「一定の人的関係」とは、学校の内外を問わず、同じ学校・学級や塾・クラブチーム等の当該児童が関わっている集団(グループ)など、当該児童と何らかの人的関係を指す。
•「物理的な影響」とは、身体的な影響をはじめ、金品をたかられたり、隠されたり、嫌なことをさせられたりすることや、インターネット上での誹謗中傷なども意味する。
•一見、けんかのように見えることでも、事実の全容をしっかりと見極め、児童が苦痛に感じている、嫌な思いをしていることに着目し、いじめを認知するかどうか判断する。
・ただし、注意が必要なことは、法的ないじめの定義と社会通念上のいじめの定義が乖離していることである。本校では、法的ないじめの段階で100%認知し、100%解消をめざしている。
・いじめの解消においては、いじめが止んでも最低3か月、被害者児童と保護者、加害者児童と保護者の継続的な面談を行う。そこでいじめが完全にとまった状態を解消であるとみなしている。

第4 いじめの理解~いじめ集団の4層構造とその様態の理解~

いじめは、どの学校でも、どの学年にも、どの学級にも、どの子供にも起こり得る問題である。いじめを認知するには、法的な認知を理解することが必要である。また、いじめに見られる集団構造やいじめの態様についてしっかりと理解する。

(1)いじめ集団の四層構造

いじめは、加害・被害だけの単純な構造ではない。周りではやし立てたり面白がったりする「観衆」や、見て見ぬ振りをし、暗黙の了解を与えている「傍観者」も、いじめを助長する存在である。また、一見、仲が良い集団においても、集団内に上下関係があり、上位の者が下位の者に他者へのいじめを強要しているケースもあるなど、周囲の者からは見えにくい構造もある。
さらに、直接の接点がないと思われる集団においても、いじめが発生する可能性があり、SNSでのやりとりの中でつくられている関係についても留意する。

・被害者:いじめられている子供。一人の場合が多い。
・加害者:いじめている子供。複数の場合が多い。以前,いじめられたことがあり,現在立場が逆転していることもある。
・観衆 :はやし立て,面白がって見ている子供。加害の中心の子供に同調・追従し,いじめを助長する。
・傍観者:見て見ぬふりをする。人がいじめられているのを無視することは,いじめに直接的に荷担すること
ではないが,加害者側には暗黙の了解と解釈され,結果的にはいじめを促進する可能性がある。

(2)いじめの様態
 法に基づく「いじめ」は、冷やかしやからかい、悪口、暴力を伴わない脅し文句、嫌なことを言われるなど、見た目にはいじめと認知しにくいものがある。たとえ、冷やかしやからかい等、一見、仲間同士の悪ふざけに見えるような行為であっても、何度も繰り返されたり、多くの者から集中的に行われたりすることで、本人が嫌な思いをし、苦痛を感じるようになり、それが、深刻化してしまう。
特に、遊びのふりをして軽く叩く、蹴るなどは、周囲の者がいじめと認知しにくい場合もあることから、いじめを受けた児童の心情を踏まえて、嫌な思いをし、苦痛を感じているかどうか確認し、適切に認知する必要がある。本校では、いじめを認知する際の具体的な態様として、次のような例を参考にしながら判断するものとする。
<具体的ないじめの様態は、以下のようなものがある>
① 冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる
  ・身体や動作について不快なことを言われる
  ・存在を否定される
  ・嫌なあだ名をつけられ、しつこく呼ばれる
② 仲間はずれ、集団による無視をされる
  ・対象の子が来ると、その場からみんないなくなる
  ・遊びやチームに入れない
  ・席を離される
③ 軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする
  ・身体をこづかれたり、触って知らないふりをされたりする
  ・殴られる、蹴られるが繰り返される
  ・遊びと称して対象の子が技をかけられる
④ 金品をたかられたり、隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする
  ・脅され、お金を取られる
  ・靴に画鋲やガムを入れられる
  ・写真や鞄、靴等を傷つけられる
⑤ 嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする
  ・万引きや恐喝を強要される
  ・大勢の前で衣服を脱がされる
  ・教師や大人に対して暴言を吐かせられる
⑥ パソコンや携帯電話、スマートフォン等で、誹謗中傷や嫌なことをされる
  ・パソコンや携帯電話、スマートフォンの掲示板、ブログに恥ずかしい情報を載せられる
  ・いたずらや脅迫のメールが送られる
  ・SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)等のグループから故意に外される
これらの「いじめ」の中には、犯罪行為として取り扱われるべきと認められ、早期に警察に相談することが重要なものや、児童の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるような、直ちに警察に通報することが必要なものが含まれる。

第2 いじめの防止等のために本校が実施する施策

1 いじめの防止等の対策のための組織の設置
○法第22条 学校におけるいじめの防止等の対策のための組織
学校は、当該学校におけるいじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、当該学校の複数の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者により構成されるいじめの防止等の対策のための組織を置くものとする。
本校では、「用土小学校いじめ防止等対策組織」として常設の組織として設置する。
  <「用土小学校いじめ防止等対策組織」の構成員>
校長、教頭、生徒指導主任、各学級担任、各学年生徒指導担当、教育相談主任、養護教諭、特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー※必要に応じて、PTA、心理や福祉の外部専門家、外部機関である弁護士、医師、警察官等についても参加を図りながら対応する。

<「用土小学校いじめ防止等対策委員会」の活動内容>
・学校基本方針の点検、見直し等のPDCAサイクルの検証の中核的な役割
・いじめの相談・通報の窓口としての役割
・いじめの疑いに関する情報収集、記録、共有など
・問題行動に関する情報収集、記録、共有など
・いじめアンケートの実施
・いじめの疑いに係る情報があったとき、緊急に会議を開いて、いじめの情報の迅速な共有、関係のある児童への事実関係の聴取、指導や支援の体制・対応方針の決定と保護者との連携といった対応を組織的に実施するための中核としての役割等

2 いじめの防止等に関する措置

(1) いじめの未然防止のための取組

【法第3条】
〇いじめの防止等のための対策は、いじめが全ての児童等に関係する問題であることに鑑み、児童等が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、学校内外を問わずいじめが行われなくなるようにすることを旨として行わなければならない。
いじめは、どの学校でも、どの学年でも、どの学級にも、どの子供にも起こりうるものであり、どの子供も被害者にも加害者にもなりうるという事実を踏まえ、全ての子供を対象に、全職員共通理解の下でいじめの未然防止のために以下のことに取り組む。
 未然防止の基本として、児童が心の通じ合うコミュニケーション能力を育み、規律正しい態度で授業や行事に主体的に参加・活躍できるような授業づくりや集団づくりを行う。また、集団の一員としての自覚や自身を育むことにより、いたずらにストレスに捕らわれることなく、互いを認め合える人間関係・学校風土をつくる。更に、教職員の言動が、児童を傷つけたり、他の児童によるいじめを助長したりすることのないよう、指導の在り方に細心の注意を払う。
(2) いじめの防止等の対策のための組織
① いじめの防止等に組織的に対応するために、学校長が任命した構成員からなる、「いじめ問題対策委員会」を設置する。
②「用土小学校いじめ防止等対策組織」の構成員は次の通りとする。
校長、教頭、生徒指導主任、学級担任、各学年生徒指導担当、教育相談主任、養護教諭、特別支援教育コーディネーター、さわやか相談員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー※必要に応じて、PTA、心理や福祉の外部専門家、外部機関である弁護士、医師、警察官等についても参加を図りながら対応する。
「用土小学校いじめ防止等対策組織」は次のような役割を担う。
a. 学校基本方針が、学校の実情に即してきちんと機能しているかを点検し、必要に応じて見直すというPDCAサイクルの検証の中核となる役割
b. いじめの相談・通報の窓口としての役割
c. いじめの疑いに関する情報や児童の問題行動等に係る情報の収集と記録、共有を行う役割
b. いじめの疑いに係る情報があったとき、緊急に会議を開いて、いじめの情報の迅速な共有、関係のある児童への事実関係の聴取、指導や支援の体制・対応方針の決定と保護者との連携といった対応を組織的に実施するための中核としての役割 等

(3)未然防止

いじめ問題を克服するために、本校の教育活動全体を通じて、全ての児童を対象にいじめの未然防止の取組を行う。特に、全ての児童に「いじめは人権を侵害する絶対に許されない行為である」との理解を促し、人権尊重の精神の涵養を目的とする教育活動を行う。また、児童の豊かな情操や道徳心、自分の存在と他人の存在を等しく認め、お互いの人格を尊重し合える態度等、よりよい人間関係を構築する能力を養う。

① 道徳教育および体験活動等の充実
教育活動全体を通じて、児童に、かけがえのない自他の生命や人権を尊重する心と態度を醸成するため、道徳教育の充実を図る。また、宿泊行事などの体験活動等、他者と深く関わる体験を重ね、児童の豊かな情操と道徳心を培い、よりよい人間関係を構築する能力の素地を養う。

② 児童会活動等の活性化
学級活動等で、自分の意見や考えを交流したり、集団として合意形成したことを実行に移し、問題の解決や改善を図ったりする機会を設けることによって、児童のコミュニケーション能力や自己有用感等を高め、社会に参画する態度や自主的・実践的な態度を醸成する。特に、学級会活動を全クラスで行っている。
児童が自らの力で問題を解決し、自治的な能力を身に付けられるよう、児童による自主活動や主体的な活動をあらゆる機会を通じて行う。

③ 児童の人権意識の向上
いじめは人権を侵害する絶対に許されない行為である。このことをしっかりと受け止め、児童に人権や人権擁護に関する基本的な知識を確実に身に付けさせ、自分とともに他の人の大切さを認めようとする意欲や態度、行動力を育成する。また、児童一人一人が大切にされ、安心・安全が確保される環境づくりに努める。

④ 授業づくりの改善と工夫
授業においては、児童に授業規律を徹底させるとともに、児童にわかる、できる喜びや実感を与えられるよう、日頃から教材研究や授業研究を行うなど指導方法の工夫・改善に努める。また、学び合い活動を一層推進する。

⑤ 開かれた学校づくり
本校が取り組むいじめ防止について保護者への理解を促すとともに、PTA等と定期的に情報交換したり、地域共育コミュニティや学校評議員の制度を活用したりするなど、いじめ防止のために家庭・地域が積極的に相互協力できる関係づくりを進める。

⑥ インターネット上のいじめの防止
児童にSNS等を含むインターネット上の不適切な書き込み等が重大な人権侵害行為であることをしっかりと指導するとともに、授業だけではなく、外部の専門家等を招き、児童にインターネットの利用のマナーやモラルについて学習させる。
また、保護者に対して、フィルタリングの設定やインターネットの利用に関する家庭でのルールづくり等を周知徹底する。

⑦ 早期発見・早期対応

(a)早期発見
いじめの発見の遅れは、早期解決を困難にさせ、問題の複雑化、深刻化につながることがあるため、日頃から児童の見守りや信頼関係の構築等に努め、児童が示す変化や危険信号を見逃さないよう意識を高く保つとともに、教育相談体制を整え、次の事項に留意していじめを積極的に認知することに努める。
• 児童・教職員ともに「いじめ」についての基本的な認識の共通理解と周知、人権尊重の意識の育成の充実を図る。
• いじめは基本的人権の侵害に関わる問題であり、人間として絶対に許されないという意識を教育活動全体を通じて様々な場において徹底する。
• いじめについての定義を踏まえ、「いじめ」の具体的なケースを示しながら理解と周知を図る。
• 学校で問題を抱え込んで独自に解決を図ることに固執せず、教育委員会等関係諸機関との連携を図ってよりよい解決につながるよう留意する。
• いじめる側の心理面についても児童に理解を図り、加害者をつくらないという観点から防止に努める。
• 人間関係の固定化から、序列化につながっていないか注意して児童観察を行う。
• 過去にいじめられた経験があるから、「いじめてもよい」、「他者がいじめられても仕方がない」などといういじめの連鎖につながらないように留意させる。
• 学級活動等教育活動全体を通じて、児童相互、児童と教職員、教職員と保護者等の人間関係づくりに努めるとともに、いじめについて相談したり、訴えたりできる学校の雰囲気づくりと児童個人が抱える課題を表明できる学校全体の環境づくりに取り組む。
• 調査や人間関係トレーニングなどを活用して、よりよい人間関係づくりに努めるとともにコミュニケーション力の育成を図る。
(ア)いじめアンケート等の実施
いじめアンケートを毎月実施する。実施にあたっては、児童が素直に自分の心情を吐露しやすい環境をつくる。学級担任等は、いじめアンケートの結果について気になることがあれば、生徒指導主任や教育相談主任等に相談するとともに、直ちに管理職に報告する。また、日常取り組んでいる連絡帳も活用する。
(イ)教育相談体制の充実
定期的に個人面談を実施し、児童や保護者の声に耳を傾け、いじめ等の訴えがあった場合、児童等の思いや不安・悩みを十分受けとめる。また、スクールカウンセラー等を活用しながら、いじめを訴えやすい環境を整える。
(b)早期対応
いじめを認知した場合、「NewI’s」、「I’s2019」に基づき、以下のように対応する
 (ア) いじめている児童への指導
    ・いじめの内容や関係する児童について十分把握し、人権の保護に配慮しながら、いじめが人として許されないことを理解させ、直ちにいじめをやめさせる。いじめの内容によっては、警察等と連携を図る。
 (イ) いじめられている児童への対応
    ・被害者の安全・安心の担保を第一に対応するとともに、その状況に応じた支援等を行う。また、いじめられる側にも問題があると言う考え方で接することのないように留意する。 
 (ウ) 周りの児童への対応
    ・周りではやし立てたり、傍観はいじめの加害者と同様の立場にあることに気づかせる。
 (エ) いじめの解消
    ・いじめは、単に謝罪をもって安易に解消とすることはできない。いじめが「解消している」状態とは、少なくても次の二つの要件が満たされている必要がある。ただし、これらの要件が満たされている場合であっても、必要に応じ、他の事情も勘案して判断するものとする。
○いじめに係る行為が止んでいること。被害者に対する心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)が止んでいる状態が相当の期間継続していること。この相当の期間とは、少なくとも3か月を目安とする。ただし、いじめの被害の重大性等から更に長期の期間が必要であると判断される場合は、この目安にかかわらず、学校の設置者又は学校いじめ対策組織の判断により、より長期の期間を設定するものとする。学校の教職員は、相当の期間が経過するまでは、被害・加害児童の様子を含め状況を注視し、期間が経過した段階で判断を行う。行為が止んでいない場合は、改めて、相当の期間を設定して状況を注視する。
○被害児童が心身の苦痛を感じていないこと。いじめに係る行為が止んでいるかどうかを判断する時点において、被害児童がいじめの行為により心身の苦痛を感じていないと認められること。被害児童本人及びその保護者に対し、心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等により確認する。学校は、いじめが解消に至っていない段階では、被害児童を徹底的に守り通し、その安全・安心を確保する責任を有する。いじめが「解消している」状態とは、あくまで、一つの段階に過ぎず、「解消している」状態に至った場合でも、いじめが再発する可能性が十分にあり得ることを踏まえ、学校の教職員は、当該いじめの被害児童及び加害児童については、日常的に注意深く観察する必要がある。 

(c)関係機関との連携
いじめが、犯罪行為として取り扱われるべきものであると認められる場合は、教育的な配慮や被害児童等の意向への配慮のうえで、早期に警察に相談し、適切に援助を求める。なかでも、児童の生命、身体または財産に重大な被害が生じるような場合は、直ちに警察に通報し、連携した対応をとる。
(ア)いじめにより学校に在籍する児童の生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
(イ)いじめにより学校に在籍する児童が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。
なお、児童の安全確保および犯罪被害の未然防止のため、警察署との連携が必要と認められる事案については、寄居警察生活安全課に適時・適切に連絡する。また、町の子育て支援課や児童相談所等関係機関との情報交換を適宜行う。
インターネット上のいじめへの対応
インターネット上に不適切な書き込み等を行っているとの連絡を受けた場合、そのサイト等を確認し、デジタルカメラ等で記録したうえで、当該児童およびその保護者に了解をとり、不適切な書き込み等のあるプロバイダに連絡し、削除を要請する。
なお、不適切な書き込み等が犯罪行為と認められる場合は、削除要請を依頼する前に警察に通報・相談する。
(d)教職員の資質能力の向上
「いじめはどの子どもにも、どの学校でも起こり得る問題である。」という基本認識に立ち、全ての教職員が児童としっかり向き合い、いじめの防止等にきっちり取り組める資質能力を身につけられるよう、「いじめ対応マニュアル」や「NewI’s」、「I’s2019」(埼玉県教育委員会)などを活用し、適宜校内研修を行う。
(e)家庭・地域との連携
保護者や地域住民の信頼関係を構築し、児童の家庭や地域での様子を気軽に相談できる体制を整備する。また、いじめの防止等の取組について、保護者に理解を得て、PTA総会や個人懇談会等の機会に情報交換を行う。さらに、地域住民の学校行事への参加を促したり、連携して街頭指導を実施したりして、校外での児童の様子を把握する。

(f)継続的な指導・支援
いじめ問題対策校内委員会やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等を交えたケース会議等を定期的に行い、児童の人間関係を継続的に注視していく。いじめを受けた児童については、継続的な心のケアに努めるとともに、自己有用感等が回復できるよう支援する。
また、いじめを行った児童については、いじめの背景にある原因やストレス等を取り除くよう支援するとともに、相手を思いやる感情や規範意識が向上できるよう粘り強く指導する。
さらに、当該児童の保護者と常に連絡を取り合い、家庭での様子や児童の言動を継続的に把握する。
(g)取組内容の点検・評価
いじめ防止等について、具体的な取組状況や達成状況を学校評価等を利用して確認するとともに、「用土小学校いじめ防止等対策組織」を中心に学校基本方針を点検し、必要に応じて見直しを行う。
3 重大事態への対処

(1) 重大事態とは
法第28条第1項第1号の「生命、心身又は財産に重大な被害」については、いじめを受ける児童の状況に着目して判断する。
例えば、以下のケースが想定される。
○ 児童(児童)が自殺を企図した場合
○ 身体に重大な傷害を負った場合
○ 金品等に重大な被害を被った場合
○ 精神性の疾患を発症した場合

第2号の「相当の期間」については、国の基本方針では、不登校の定義を踏まえ、年間30日を目安にしている。ただし、日数だけでなく、児童の状況等、個々のケースを十分把握する必要がある。また、いじめられて重大事態に至ったという申立てが児童や保護者からあったときは その時点で学校が「いじめの結果ではない。」あるいは「重大事態とは言えない。」 と考えたとしても、重大事態ととらえる必要がある。用土小学校は、重大事態の意味を踏まえ、個々のケースを十分把握した上で重大事態かどうかを判断し、報告・調査等に当たるものとする。
(2) 重大事態への対処の流れ
   重大事態が発生した場合には、関係のあった児童が深く傷つくとともに、学校全体の児童や保護者及び地域にも不安や動揺が広がったり、時には事実に基づかない風評等が流れたりする場合もある。用土小学校は、関係機関や専門機関と連携して、全体の児童の心のケアと落ち着いた学校生活を取り戻すための支援を行うとともに、プライバシーに配慮したうえで、保護者に対して、事態の状況や今後の対応を説明する。また、報道機関等に対しては、予断のない正確で一貫した情報提供を行う。
   重大事態への対応にあたっては、国のいじめ防止等のための基本的な方針の別添「学校における『いじめの防止』『早期発見』『いじめに対する措置』のポイント」のうち『いじめに対する措置』を参考に対応に当たる。
 (3) 教育委員会又は用土小学校による調査
  ・用土小学校は、重大事態が発生したときは、その旨を、教育委員会を通じて速やかに町長へ報告する(法第30条第1項)。
<図①:発生の報告> 
  ・用土小学校は、その事態に対処するとともに、速やかに組織を設け、事実関係を明確にするための調査を実施する(法第28条第1項)。なお、用土小学校が主体の調査では重大事態への対処及び同種の事案の発生の防止に必ずしも十分な結果を得られないと教育委員会が判断するときや学校の教育活動に支障が生じるおそれがあるようなときは、教育委員会が調査を実施する。

<図②:調査>
  ・調査は、必要に応じて教育委員会が設置した附属機関が行う。
  ・教育委員会又は用土小学校は、いじめを受けた児童等及びその保護者に対し、当該調査に係る必要な情報を適切に提供するものとし、提供に当たっては、他の児童等のプライバシー保護に配慮する等適切な方法で提供する(法第28条第2項)。
  ・教育委員会は、用土小学校が調査を行うときは、必要な指導、助言又は支援を行う(法第28条第3項)。
  ・教育委員会又は用土小学校は、法第28条第1項の規定による調査の結果について、町長に報告する。なお、いじめを受けた児童等又はその保護者から申し出があったときは、いじめを受けた児童等又は保護者の所見をまとめた文書を受理し、当該文書を調査結果報告に添えるものとする。
<図③:調査結果の報告>
  
 (4) 重大事態の報告を受けた町長の再調査等
  ・町長は、法第28条第1項の規定により教育委員会又用土小学校が行った調査の結果について、必要があると認めるときは、附属機関を設けて調査を行う等の方法により、再調査を行うことができる(法第30条第2項)。<図④:再調査>
 ・再調査においても、当該児童等及びその保護者に対し、当該調査に係る必要な情報を提供するに当たっては、他の児童等のプライバシー保護に配慮する等適切な方法で提供する。
 ・町長は、教育委員会又は用土小学校が行った調査の結果について再調査を行ったときは、その結果を議会に報告する(法第30条第3項)。<図⑤:再調査結果報告>
  ・町長及び教育委員会は、再調査の結果を踏まえ、自らの権限及び責任において、当該調査に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずる(法30条第5項)。<図⑥:必要な措置を講ずる>

第3 その他いじめ防止等のための取組に関する事項
基本方針の取組の検証・見直し

 

学校いじめ防止基本方針の公表・点検・評価等について
(1)ホームページでの公表
・公表した内容を、様々な機会を活用して、説明する。
(2)年度末の評価と公表
・学校評価の項目に加え、年度末に評価・公表を行う。
・いじめ問題の取り組みを保護者、児童、職員等で評価し、次年度への検討をする。
(3)学校いじめ防止基本方針の見直しについて
・PDCAサイクルの考え方に従い、評価をして、その結果を踏まえ、取り組みが適切に行われたか否かを検証する。
・文部科学省、埼玉県教育委員会、寄居町教育委員会の基本方針が示された折には、その方針に基づいて随時見直しを図る。